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東京の戦争 (ちくま文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 115255 位
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何も足さない、何もひかない
作家というのは事実でも自分の解釈で描いていくものである。
しかし、吉村さんというのは作家でありながら、新聞記者やルポライターよりも誠実に事実を追及し、そこに人間性を見出しドラマを描いた方であった。
さまざまな戦争物がある。
今、戦後60年以上たち、沖縄戦における軍の介入の真偽が問われたり、戦争に対するさまざまな解釈や見解が出てきている。
あの戦争を振り返る一冊として、ためらう事なくこの一冊を読んだ。
そこに描かれているのは、空襲で家を失い、その後家族を亡くした吉村少年の体験記である。
お涙頂戴はない、アメリカの爆撃機がどのように街に近づき、破壊し、戦後どのように人々が生きたかを実に清廉、簡潔明瞭な文章で書いている。
ドラマ性を求めず、事実を淡々と描いているだけであるが、悲しくもあり、当時の生活をそのまま疑似体験できるような筆致であった。そして戦争を考える上で非常に貴重な一冊である。
吉村さんがこの本を書いてくれた事を感謝したい。
戦時下の日常
戦争と言う言葉からイメージしがちなのは戦闘シーンで、それが戦争の一面であることは確かだとしても、一方では一般の人々が戦時下なりの日常生活を営んでいたのである。政治や軍事の面から語られることの多い戦争と言うものが、一般の人にはどのように見え、どのような影響を与えたがわかる好著である。
抑制した筆致の伝えるもの
戦後60年ということで、8月15日に向けて、何かと回顧ものが出版されている中で、1931年の満州事変勃発から1945年の終戦までの間、東京で暮らしていた筆者が見たこと、聞いたこと、体験したことを綴っていった一編。この筆者の書き様は決して大袈裟なものではなく、なにげない描写がかえって当時の空気を伝えている。空襲下、家族に取り残された老婆が助かったものの、家族と再会する逸話、戦災の後、焼け残った電柱の土中に埋めてある部分を掘り返して燃料にする男の話、箱枕の置いてある桟敷で落語を楽しみ、また映画を見た寄席や映画館が焼失した後の逸話、戦時下の墓地で性交をする男女を目撃した話、などなど、時系列ではなく、さかのぼったり、後の時代に下ったり、前後を関係なく淡々とした筆致で書き進めていく。全体として、あの戦争の時代というのはどういう空気だったのかが伝わってくる。 大上段に振りかぶった書き様ではないだけに、伝わってくるものが大きい。 解説で小林信彦が書いているが、巻末の「私の『戦争』年譜」を先に一読した方がわかりやすいかもしれない。
筑摩書房
遠い日の戦争 (新潮文庫) 三陸海岸大津波 (文春文庫) 大本営が震えた日 (新潮文庫) プリズンの満月 (新潮文庫) 零式戦闘機 (新潮文庫)
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